教員活動
2025.11.15
城西国際大学 理学療法学科では、AI(人工知能)やデジタル技術を理学療法の評価・教育にどのように活用できるかを検討する研究に取り組んでいます。
2025年11月15日~16日に山梨県で開催された「第44回関東甲信越ブロック理学療法士学会」において、本学理学療法学科の桑江豊准教授が、AIを用いた住宅環境評価に関する研究成果を発表しました。
発表題目は、
「大規模言語モデルを用いた住宅環境における転倒リスク要因検出の実現可能性:探索的パイロットスタディ」
です。
高齢者が自宅で安全に生活を続けるためには、身体機能だけでなく、段差、床面、家具配置などの住宅環境を確認し、転倒につながる要因を把握することも重要です。
今回の研究では、大規模言語モデルであるGPT-4oを用いて、住宅環境を撮影した画像から、転倒リスクにつながる可能性のある要因をどの程度検出できるかを検討しました。
AIによる住宅環境評価が、理学療法士など専門職による環境評価をどのように補助できる可能性があるのかを検討した、探索的な研究です。
検証の結果、AIは住宅環境に存在する転倒リスク要因を高い感度で検出できる可能性が示されました。
一方で、実際には重要性が低い特徴までリスクとして捉えるなど、過剰に検出する傾向も確認されました。
そのため、AIだけで住宅環境の安全性を判断するのではなく、現段階では、理学療法士など専門職による評価や臨床判断を補助するツールとして活用する可能性を検討することが重要です。
AIの能力だけでなく、誤りや限界についても検証することで、医療・理学療法分野でどのように安全に利用できるのかを考える研究となっています。
医療・理学療法分野でAIを活用する際には、AIが提示した結果をそのまま受け入れるのではなく、結果の妥当性を専門的な知識から判断する力が必要です。
今回の研究では、AIによる転倒リスク要因の検出性能だけでなく、その限界や誤検出についても検討しました。
こうした検証は、AIを専門職の判断を補助するツールとして利用するだけでなく、学生が「AIは何を正しく判断でき、どこで誤る可能性があるのか」を考えながら臨床推論を学ぶ教育への応用にもつながる可能性があります。
城西国際大学理学療法学科では、身体機能評価や地域リハビリテーションなど従来の理学療法領域に加えて、AIやICTなどのデジタル技術を理学療法の教育・研究へ活用する取り組みを進めています。
今回のようなAIを用いた研究では、単に新しい技術を導入するのではなく、理学療法士の専門的判断とAIをどのように組み合わせることができるのか、またAIにはどのような限界があるのかを科学的に検証することを重視しています。
また、本学科では、ICTを活用した国家試験・学修支援など、学生教育においてもデジタル技術を活用しています。
今後も城西国際大学理学療法学科では、理学療法の専門性とAI・デジタル技術を組み合わせ、人の身体・生活環境を科学的に評価するための教育・研究を進めていきます。