2025年10月11日、札幌市教育文化会館(札幌市)で開催された「第12回日本地域理学療法学会学術大会」において、城西国際大学福祉総合学部理学療法学科の安齋 紗保理 助教が「デイサービスにおける自立支援・重度化防止に向けた人材育成支援の効果:職員に対するインタビュー調査から」(共同発表者:新井武志 氏、植田拓也 氏、中瀬咲子 氏、柴 喜崇 氏)というタイトルで研究発表を行い、「優秀演題賞 実践部門」を受賞しました。
研究の背景・目的
高齢者の増加に伴い、要介護者の増加が社会的な問題となっています。こうした背景から、介護保険サービスにおいては、利用者の「自立支援」や「重度化防止」がますます重要視されています。しかし、デイサービスなどの現場で具体的にどのように自立支援・重度化防止を進めていけばよいか、その効果的な方法はまだ確立されていません。この研究は、デイサービスの現場で自立支援・重度化防止を実現できる仕組みづくりを目指した実践的な取り組みの一つです。今回の学会発表では、デイサービス職員を対象とした「人材育成支援」の取り組みとその効果について報告しました。
発表内容と当日の様子
当日は口頭発表形式で行われ、会場には多くの聴衆が集まりました。実際にデイサービスやデイケアの現場で働く理学療法士の先生方からもご質問をいただくなど、関心の高さがうかがえました。今回の発表では、デイサービス職員とリハビリテーション専門職が協働で行う「人材育成支援」の取り組みについて報告しました。具体的には、職員が行った利用者評価を基に、自立支援に向けたケアを話し合うカンファレンスを実施しました。結果、この取り組みを通して、職員が主体的に自立支援に向けたケアを考え、デイサービス内でそのケアを実践するようになるなど、職員の意識や行動に変化がみられました。
受賞者(安齋 紗保理 助教)のコメント
「この度は優秀演題賞(実践部門)を受賞し、大変嬉しく思います。学会での発表を通して、多くの先生方が(デイサービスの現場で)同じような課題を抱えていることを実感し、ますますこの研究を発展させていく必要があると感じました。」
今後の展望
今後は、この人材育成支援を通じた利用者の変化(心身機能、QOL、自立度など)を検証していく予定です。職員の意識や行動の変化に加え、利用者の変化も明らかにすることで、デイサービスにおける効果的な自立支援・重度化防止に向けた仕組みを確立できる可能性があります。
