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【開催報告】ウクライナの理学療法士と大使館員が特別講演、学生に平和と専門職の役割を問いかける

開催報告

2025.07.18

【開催報告】城西国際大学 理学療法学科|ウクライナの専門家による義肢装具学特別講演会

本学は7月18日(金)、国際的な視野を持ち世界で活躍できる理学療法士の育成を目指す教育理念の一環として、ウクライナから理学療法士のTARAS氏とウクライナ大使館のYuliya氏をお招きし、福祉総合学部理学療法学科の学生を対象とした特別講演会を開催しました。

緊急時に命を救う、実践的なリハビリテーション技術

最初に登壇されたTARAS氏は、ウクライナ国立体育・スポーツ大学の元准教授であり、現在はキーウの整形外科リハビリテーションセンターで首席理学療法士として活躍されています。講演では、戦争や災害といった緊急事態下での臨床対応として、特殊な低温熱可塑性プラスチックを用いた装具作製技術を実演と共に紹介いただきました。この技術は、限られた環境でも迅速に患者へ対応できるため、非常時におけるリハビリテーション専門職の重要性を学生たちに強く印象づけました。

ニュースでは伝わらない、医療現場の厳しい実態

続いて、ウクライナ大使館二等書記官のYuliya氏が登壇されました。講演の直前、7月7日にキーウから帰国されたばかりのYuliya氏から、現地の状況について報告がありました。特に、病院が度重なる空襲警報で地下への避難を余儀なくされるなど、医療現場の厳しい実態が生々しく語られました。そのお話は、普段ニュースで接する情報との間に大きな隔たりがあることを学生に実感させ、戦争をより身近な問題として捉えるきっかけとなりました。

「社会への無関心が戦争を引き起こす」という強いメッセージ

Yuliya氏は、「ウクライナの若者も、戦争が始まるまでは自国で起こるとは夢にも思わなかった」と語り、「社会に対する無関心が戦争を引き起こす」という強いメッセージを日本の若者へ向けて発信されました。この言葉は、戦争を遠い国の出来事ではなく、自分たちの社会と密接に関わる問題として考える重要性を学生に教えました。講演後、一部の学生からは「ウクライナの若者のために自分にできることを考えたい」という感想も寄せられ、深く考える機会となったことがうかがえます。

専門知識の習得が国際社会への関心を深める

今回の特別講演は、理学療法士としての専門技術を学ぶに留まらず、学生が国際社会や平和の問題を自分事として捉える、本学の教育理念を体現する貴重な時間となりました。