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ハンガリー研修(4年生)27・28・30日目

ハンガリー研修

2022.09.12

学生リポート

9月12日(27日目)

4つの救急に関わる小グループでの研修(2日目)

surgeryでは、「麻酔からの覚醒」「腹腔鏡手術の胆嚢全摘術」「脊椎麻酔」を見学した。
特に腹腔鏡手術では麻酔導入から覚醒まで一連の流れを確認でき、気管挿管も見ることができた。ほとんどの手術が1時間以内程度でスムーズに行われており、1つの手術が終わると、すぐに次の手術に移っており1日の手術件数が多いと感じた。

ICUでは、救急車で搬送されてきた方や、他病棟から移って来られた方など、7~9人ほどの患者さん方の症状や状態、どのような処置を施しているのかといったことを説明して頂いた。

患者さんのベット環境が日本とは異なり、シーツが伸びていなくても、ベッドそのものが凸凹で体圧分散マットになっていた。また、管を自身で抜いてしまうリスクがある患者さんに対しては、抜去防止のためおそらく両手の拘束がされていた。拘束をするにあたり、日本では患者さんの同意書が必要である。しかし、コミュニケーションができない患者に対しては、拘束をするか否かの最終判断は医師であった。文化が医療環境の背景にもなっていることを感じた。

ERでは患者のトリアージ室と、その先の処置室、入院患者の様子を見学した。まず看護師が問診・SPO2・血圧などを記録する。そのあと医師に報告しながら、診療の優先順位(=トリアージ)をつけている様子が観られた。

手首から採血している患者が多かったが、それは血液ガス分析で使う動脈血を取るためだとわかった。「橈骨動脈(とうこつどうみゃく) radial artery」採血といえば、腕の真ん中の静脈採血が普通かと思っていたが、動脈採血はどちらかというと状態の悪い人や緊急時に行うことが多いそう。これは、一般の看護師さんが行うことはなく、医師が行う行為の一つであると分かった。

Cardio では頸動脈の手術、術後の患者の覚醒の様子まで見学することができた。

また、歩行訓練やリハビリテーションを見学し、患者家族に対する心理療法も見ることができた。

Miyu、Yumeka、Mikami、China

9月13日(28日目)

4つの救急医療に関わる小グループでの研修(3日目)

病院での研修は、引き続き、①心血管センター(Cardio-Vascular Center:Cardio)、②救急救命室(Emergency Room:ER)、③集中治療室(Intensive Care Unit:ICU)、④手術室(Surgery Theater)の病棟での研修が行われた。

心血管センターでは、手術室での研修を行った。2件の下肢ステントグラフト挿入術の見学とCABG(冠動脈バイパス手術)について学ぶことができた。CIA(総腸骨動脈)の血管径が通常8-10mmのところ25mmまで拡張しており、ステントグラフトをX線を使って挿入していた。また、手術室には必要最低限の器具や装置と少数人の医者と看護師とアシスタントがおり、無菌状態を保つために厳重な衛生管理がされていた。そこでは、CABGについては消毒の重要性と手術法を学んだ。

救急救命室:ERの研修では、トリアージの見学と採血の見学等を行った。
特に印象的だった患者のトリアージでは、右手の振戦とめまいがあり、高血圧と低酸素状態であった。心電図で、ST上昇を確認し、バレー兆候では右腕がやや内旋し、鼻指試験では、右手は目を瞑ったまま鼻を触れなかった。また、指を目で追うテストでは右目の動きが悪いようだった。そのことから、左脳での脳梗塞の可能性があるのではないかと考えた。患者をトリアージしながらも、コミュニケーションを取るなど業務だけではなく、患者へ安心感を与える配慮も観察することができ、ERにおける医療を学ぶことができた。

手術室の研修では、大腸カメラの検査の見学とストマ患者回復手術、皮膚がんの手術を見学した。大腸カメラの検査では、全身麻酔をして大腸カメラをしていた。検査中においては、循環状態を確認しながら麻酔、ファイバースコープを入れており、解剖的に体位を変えながら挿入していた。手術の見学ではストマ(人工肛門)がある患者さんの開腹手術や皮膚癌の手術を見学した、そこでは、麻酔科のサチュレーションの確認は欠かせないことを何度も教えていただいた。

ICUの研修では、術後の患者さんのケアを見学し、少し練習させていただいた。 呼吸器の管内の吸引、口腔内吸引、その後の吸引機の清潔のための動作を体験させていただいた。今回の患者は1時間に1回吸引が必要であり、モニタリングの記録も1時間に1回必要であった。術後の感染予防のためにクロルヘキシジンで口腔内を磨いていた。口腔内の清潔はチューブでの経管栄養でも大事であるため、ケア参加は学びが大きかった。術後DVT(深部静脈血栓)の予防が、ヘパリンや理学療法によって行われていた。また、褥瘡予防のため、踵にはクッションシールみたいなものを貼っていた。こちらの交換も体験させていただいた。足の先が浮腫んでおり、交換の際に掴んだ部分がかなり窪んでいた。

ICUでは患者の状態を観察するとともに、薬剤の管理やチューブの閉塞の有無などの観察など患者だけではなく、全体の観察を行うことが大切であり、中でも、患者とのコミュニケーションをとり、患者を安心させてあげることが何よりも重要であることを学んだ。

Hiroto、

9月15日(30日目)

研修全日程のまとめと課題発表準備

今日は午前中に明日行う発表の資料作成を行った。センメルワイス大学の学生と話し合いながら作成することができた。6つのテーマごとでグループワークを行い、発表準備をした。6つのテーマに共通しているのは、ハンガリーと日本の医療の相違についてである。センメルワイス大学の学生とは、ハンガリー語の論文を探してもらったり、英語でディスカッションしたりできた。これまでの学習を振り返る機会となった。

午後はオキシエリアと呼ばれる交通事故現場が再現された場所で救急車に乗せるまでを行った。そこではAEDではなく除細動器を使用した。また、救急時の担架への移送の仕方を学習した。まずは、頭や頸部の固定がとても重要であり、体温保持や出血箇所を見つけることも重要である。終わりに救急車の中も見させていただいた。棚に入った薬剤や医療器具、注意を促すようにサイレンの種類がいくつかあること、夜間に青いライトを使うことは、患者の気持ちを落ち着かせるためであることを知った。

この研修で救急医療に関する様々なことを学んできた。このまとめの作業で、日本とハンガリー(EU)の相違を考えていくと、命を救うというところは同じように重要であり、ちょっとした違いがあるのは文化の違いによるものであることが理解できてきた。

Momoka,Yui,Nana

交通事故現場の救急搬送について学ぶ

交通事故現場の救急搬送について学ぶ

演習後の集合写真

演習後の集合写真