This page does not support translation languages. ×

2023年度 ハンガリー研修 9日目

ハンガリー研修

2023.08.25

2023年度 ハンガリー研修 9日目 8月25日

センメルワイス大学附属病院に勤務している男性看護師の方の話を聞いた。

センメルワイス大学附属病院 新玄関口

1限の講義では、呼吸パターンとそれに関わる疾患について学んだ。呼吸パターンでは、クッスルマウス呼吸や過呼吸、高酸素血症や低酸素血症の症状や治療について学んだ。高酸素血症の原因では、高濃度酸素療法による過剰な酸素供給によって、起こることを学んだ。また低酸素血症では、酸素供与が治療としてあり、日本と同様に、酸素ボンベや酸素濃縮器を利用したHOTを行われていることを学んだ。

次にセンメルワイス大学附属病院のICUと一般病棟の見学を2グループに分かれ実施し、基本的にICUでは日本と同様な作りや医療体制であったが、日本と異なり見学したところでは呼吸器に関するICUであり、人工呼吸を挿入している患者を、歩行やベッドサイド、椅子への移乗などができるように、リハビリしていることを知り衝撃を受けた。加えて2006年度の日本集中治療看護部会の調査によると、日本では平日の日中夜を通して約8割では、看護師対患者1:2以上を確保しているとあったが、ここでは看護師対患者1:1.5と説明された。説明を受けた際、私は看護師の人数が、とても充実していると感じたが、センメルワイス大学附属病院では、この看護体制が適切であると考えており、これ以上患者の割合を大きくすると、医療従事者側に大きな負担となり、業務の合理化で真っ先に省略されるのは、手指衛生などであり、その結果院内感染のリスクが高まるためであると説明された。実際に見学をしていると、院内全体の様子は忙しくはあるが落ち着いてどこか余裕があり、、医師や看護師、理学療法士が各々の職務を効率良く行なっており、機材の消毒、手指衛生は徹底されていた。

続いて見学したのは呼吸器科の一般病棟であるが、ハンガリーでは喫煙率の高さから、COPD(慢性閉塞性肺炎)の患者が多く、ICUを含め、多くの患者が酸素療法を行っていた。またハンガリーそのような国内事情があるため、日本の介護保険のようなシステムでSEOLPという制度があり、この制度によって、患者はケアを行う相手(家族や友人、看護師)と契約することによって、使用する人工呼吸器や消耗品を無料で使用できる。制度の利用申請から受給までは約10日前後かかり、その間病院では患者のバイタルサインや呼吸状態、重症度の情報集め、受給後すぐに機械を設定できるようにしていることが分かった。一方でこのシステムでは、契約者(ケアを行う人)が契約の打ち切り・停止を申し出た際、費用負担の制度が止まる仕組みになっているため、厳しい一面があることを学んだ。最後にハンガリーにもレスパイトケアは存在し、多くは夏季のバケーションの時期に成人・小児共に1~2週間病院で預かってもらえ、介護度が高いALSなどなど疾患においては、数ヶ月預かってもらえる制度、研修をさせてもらった病院ではあることを学んだ。

今回の病院研修では、ハンガリーの国民病とも言える呼吸器疾患への対応やそれに関わる社会制度を多く学べた。日本とハンガリーでは多くの点で共通することがあるが、やはり社会文化や人口の違いによって、似たような制度でもその制度の内容や適応疾患が異なることが面白く、大変勉強になった。