ハンガリー研修
2023.08.30
本日の研修は、午前中にセンメルワイス大学病院の循環器病センターで講義を受けた。講義内容は急性期における循環器疾患への専門性の高い手術や、患者がより速く自立するために実施されているケアやリハビリ等を学ぶことができた。この循環器病センターの特徴としては、ハンガリーの中で唯一心臓移植ができ、ヨーロッパ全体の中でも3番目に多く心臓移植が行われている。このことからセンメルワイス大学病院の循環器病センターは、心臓移植についての技術や設備が整っており、ヨーロッパの最先端医療を担っている病院であるということがわかる。講義の中で一番印象に残った話は、ハンガリーの臓器移植についてである。日本ではドナーになる為には生前に書面で臓器提供の意思を表示するか、本人の意思が不明な場合は家族の承諾が必要となることに対して、ハンガリーでは脳死判定後一定の条件をクリアしていたらドナー(臓器提供者)となり、臓器提供したくない場合は本人が生前に臓器提供をしたくない意思を書面で示さなければならない。ハンガリーと日本では臓器移植への考え方が大きく異なり文化や死への考え方の違いが理由ではないかと考える。
午後は、Hospital in the rockへ行った。ここは第二次世界大戦や冷戦時代に使用されていた鍾乳洞に作られた地下病院である。現在は博物館として公開されている施設で、当時の医療従事者や戦士、医療器具や医療施設を見る事ができ実際にその場にいるかのような感覚になった。今も核シェルターとして、また生物兵器や毒物にも対応できるようにしている。日本の原爆のことも取り上げられていて、折り鶴や被爆者の方々が描いた被爆後の絵を見て戦争の悲惨さや医療従事者や設備が整っていない場所での医療の厳しさを知ることができた。今日は倫理について考えさせられる一日だった。