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2023年度 ハンガリー研修 26日目

ハンガリー研修

2023.09.11

2023年度 ハンガリー研修 26日目 9月11日

「手術室での学びと国立精神神経外科研究センターでの経験」

 

 小グループでの研修2日目、私はセンメルワイス大学附属病院の手術室(Surgery theater:オペ室)での研修をおこなった。中心静脈カテーテルの造設では、施術中患者は覚醒状態で行なっていることにとても驚いた。次は、直腸がんの腹腔鏡下手術(体の複数箇所に穴を開け、そこに切る道具とカメラを入れて病気の箇所を取り除く手術)と膵臓がんの開腹手術(医療ドラマでよく見るお腹を切り開く手術)の見学を行った。オペ室では2つの手術を通して、麻酔の投薬や量の管理、脈拍、血圧、呼吸数、出血量を観察し、記録するという麻酔科医が果たす重要な役割を果たしていることを学んだほかに、人工呼吸器や患者の出血を吸引する機械の使い方、強い痛み止め薬(麻薬)であるフェンタニルという薬を使用した麻酔などを学んだ。

 それぞれの手術の特徴として、腹腔鏡下手術の特徴は開腹手術とは異なり、手術でできる傷が小さいため、手術後の回復が早く、出血量が少ないため患者への負担が少ないが、患者の急変時には開腹手術に変更しなければならない。一方の開腹手術は出血量は多く、術後の回復や痛みは強いが、異常時にすぐに対応でき、病気の箇所を広い視野で見ることができる利点があることを学んだ。

 午後はハンガリー国立精神神経外科研究センターを訪問、看護部長の方の講義を受け、そこではROSA ONE® Brain(ローザワンブレイン:ロボット脳外科手術 )という頭の手術をサポートする機械を導入し、脳深部刺激療法という去年発表されたてんかんやうつ病に効く手術を行なっているほか、くも膜下出血、大動脈瘤の治療、稀な病気の治療の研究を行っていること学んだ。特にこの病院の大きな特徴としては、ヨーロッパでもトップ3に入る医療・研究施設の先進性、高度な教育の実施、医療スタッフの技術のみならず、スタッフ間のコミュニケーションの高さ、最先端技術やケアを補助する機械の導入に積極的など、挙げれば際限がないほどに素晴らしい病院であった。また世界に大きな影響を与え、多くの死者を出した新型コロナウイルス感染症のパンデミック下では、日本と同様に患者の陰性を確認してから手術を行う。陽性患者でも手術が必要と判断されれば、緊急手術を行うということを学んだ他、新型コロナウイルス感染症に感染し、呼吸が弱くなってしまった患者では、手術する日を延期するといった工夫を行うことで、パンデミック下の困難な状況を乗り越えたということ学んだ。私はこのハンガリー国立精神神経外科研究センターで学んだこと、聞いたこと、観たことは一生の内に2度はない、とても貴重な体験をさせて頂き、やはりハンガリーに研修に来て、とても良かったと改めて実感しました。

 最後に多くの重症患者を持ち、大変忙しい中、時間を取って講義や施設見学をさせて頂いた看護部長並びに手術室看護師、集中治療室の看護師の方に大きな感謝を述べ、ハンガリー研修26日目の研修記事とさせて頂きます。(概して、笑い声や話し声で、明るいハンガリーの病院だが、突然倒れた患者の家族が廊下に控えており、さすがに深刻な状況がそこにあった)

集合写真