ハンガリー研修
2024.09.10
軍事病院で外傷治療について学びました。ATLS(外傷二次救命処置: Advanced Trauma Life Support)という外傷初期治療のプログラムがあり、迅速な治療が重要であることが分かりました。その中で、第一次治療として主に救急車内ではccABCDEアプローチが行われています。A(ccA)はAirway: 気道確保の際に頸椎保護(Cervical Spine Control)を同時に行うことを指し、BはBreathing: 呼吸、CはCirculation: 循環、DはDisability and neurological evaluation: 脳神経評価、EはExposure and environment: 外表の暴露と環境です。これらの項目をAから順に観察していくことで、患者の状態を迅速かつ正確に把握できます。
その後、第二次治療として病院到着後は、SAMPLE(Signs and Symptoms: 自覚症状、Allergies: アレルギー、Medication: 薬、Past medical history: 病歴、Last meal consumed: 最終飲食、Event: イベント)の項目から患者の詳細な情報を把握し、適切な治療へとつなげることが分かりました。ハンガリーでは救急医療体制が三つに分かれており、骨折、開放骨折、外傷の順に高次となっています。日本では明確な判断基準はないものの、一次、二次、三次と分かれていることから、重症度に応じた病院選択と類似していると感じました。
講義後には、人形を使用した蘇生トレーニングを行い、心肺蘇生やAEDの使い方について、実践的な演習を通して学びを深めることができました。また、気管挿管のシミュレーションも実施でき、日本では体験できない貴重な経験となりました。
続いて、センメルワイス大学附属病院で新生児と小児の救急医療について学びました。大人と子どもでは検査の基準値や疾患による症状に違いが生じるため、大人と比較するのではなく、小児は小児として考える必要があることを理解しました。また、小児の心肺蘇生も大人とは異なり、体格に合わせた実施方法を選択し、胸骨圧迫の強さやBVM(バッグバルブマスク)の押し方・速度なども調整する必要があることを学びました。
講義後には、センメルワイス医学歴史博物館を訪れました。この博物館はイグナーツ・センメルワイスに敬意を表して名付けられ、館内にはセンメルワイスの業績や実際に使用されていた手術器具などが展示されており、医学の歴史に触れることができました。
A.I