電動車椅子の観光利用に関する実証実験:2022年度にむけてゼミ始動

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 金子ゼミでは、新潟県上越市を対象地として「ラストワンマイルまでスモールモビリティに乗車したまま観光を行うことは可能か?」をテーマに、本年度実施した実証実験に引き続き、次年度も「電動車椅子の観光利用」に関する研究を行います。

 ちなみに、次年度は、北海道上士幌町を対象地とし、株式会社Doog様(以下、Doog)にご協力いただきながらの実証実験となります。それに先駆け、Doogが提供する電動車椅子に試乗してみようということで、Doogが実証実験をしている現場へお邪魔することとなりました。今回は、その際の報告を学生の感想と合わせ記事としました。

実証実験に協力してくださる方々との打ち合わせの様子

上士幌町役場の職員

実証実験に参加する学生たち

 

●金子ゼミ3年 前田奈央
 11月7日、茨城県つくば市では、「行政サービス、交通、医療・介護、インフラといった、地域が抱える幅広い分野の課題を、ICT等の先端技術やデータを活用することで解決し、誰もが安全、便利で快適に暮らせる、持続可能な市民中心のまちを目指す「スマートシティ」の取組」を行なっています。その一環として、来年度から産学官連携事業でお世話になるDoogが電動車椅子の実証実験を市役所内で行なっていたので、実験に参加させていただくこととなりました。

 今回、体験させていただいた電動車椅子は、Garoo(ガルー)という一人乗り自動運転椅子型ロボットです。Garooは、自動追従機能がついていて、前を歩いている人についていくことができるので、介助者が押して歩く必要がありません。なので、福祉業界で問題になっている介助者へかかる負荷も少ないのです。また、会場には、Garooは1台しかありませんでしたが、3台までは連隊して稼働させることも可能とのことでした。
 私が、Garooに乗ってみて驚いたことは以下の通りです。
・乗り心地は悪くなく、凸凹の衝撃も少なかったこと
・スピードも想像していた以上に早かったこと
・支障なくスムーズに360度回転できたこと

 私の想像をはるかに超えていました。
 このGarooは、高齢者福祉サービスに活躍するだけでなく、空港関係や遊園地のアトラクションなどにも利用できるとお伺いしました。実際に、シンガポールのチャンギ空港で導入されているそうです。
 こうした幅広い利用の状況に鑑みると、利用できるターゲットをさらに広げることもできると思いました。車椅子は、高齢者や、身体に障がいのある人が利用するものだと勝手に思い込んでいたので、使い方や、見方を変えることで様々な形で活躍できる可能性を感じます。とくに、今回の実証実験に参加してわかったことですが、運転中のGarooから人が降りた時には自動的に止まるシステムがあるので、この点をうまく活用すれば、子供への提供も可能なのかもしれないと思いました。私たちが研究している「(健常者による)電動車椅子の観光利用」というテーマからは少しかけ離れるかもしれませんが、小さな子供向けのアトラクションも実現できるのではないでしょうか。
 今回、実証実験に参加してみて、「(健常者による)電動車椅子の観光利用」に関するいろいろなアイデアが出てきたことは収穫でした。
 

電動車椅子初体験の様子を動画レポートしている様子


●観光学部2年 首藤奈保子
 2年目に入る電動車椅子の観光利用に関する研究の事前ミーティングのため、茨城県つくば市へ行ってきました。そのミーティングの席では、来年度のゼミ活動で利用を検討しているDoogの電動車椅子・Garooに試乗体験させていただきました。

 私は学部2年生のため、試験的なゼミ活動への参加ということもあり、何もわからないままながらも、今回、体験利用した車椅子に関しては驚きしかありませんでした。その理由は、「車椅子って、日常の福祉環境をサポートする道具ではないのか?」と思い込んでいたからです。ところが現場を訪れると、私が想像していたものとは異なる、超近代的な電動車椅子が出てきたので驚きました。これが金子ゼミでのゼミ活動の第一印象でした。

 今回、試乗体験したGarooは、シンガポールのチャンギ空港でも導入されているもので、電動車椅子というよりも自動運転可能の車椅子型ロボットと呼んだほうがいいと思いました。走行ルートを記憶し、人について行く機能を備えた電動車椅子だからです。従来の車椅子では欠かせなかった介助者(押す人)が不要となり、誘導役がいれば走行できるというものです。だからこそ、最低限のスタッフがいれば、コンパクトな観光が実現できるのだと実感しました。
 こうした機能について説明を受けた後に、実際に、「ルートを記憶させた走行」と「人について行く走行」の2種類の走行機能を体験させていただきました。安定した座り心地で、安全性も十分あり、先導する人が一定の速度以上で進んだ場合には停止する機能も備えているので、介護者に押してもらう車椅子より安心して乗ることができました。
 その他にも、Doogのスタッフの方にお願いして、上記2種類の走行機能に加え、いくつかのシチュエーションを試みました。結果として、衝突などの恐れがあれば自動停止し、また前方との間に十分な間隔距離を取ることもできることがわかりました。
 ただ、今回は平旦な場所での試乗走行であったため問題なく利用できたのですが、街中に出て観光利用することになると坂道や段差などの障壁に向き合わなければなりません。このことを踏まえた上で、誘導役の介助者についていく電動車椅子の利用を考え、実際の観光に活かしていければいいなと思いました。

 報告は以上となりますが、来年から始まるゼミ活動では、企画制作を頑張っていきたいと思います。

乗車体験:誘導役に追従する電動車椅子


●観光学部2年 坂田凛太郎

 11月7日のゼミ活動では、茨城県つくば市へ行ってきました。次年度に取り組む予定である、Doogという企業のGarooという電動車椅子を利用した実証実験のための視察&試乗会に参加するためです。

 私は、今回の視察で、初めて電動車椅子の試乗会というものに参加しました。まだゼミに所属する前段階であるため、電動車椅子を観光に利用する価値について、あまり理解できていませんでした。ただ、今回の試乗会に参加し、電動車椅子の観光業界における可能性はとても大きなものだと感じました。

 まず、このGarooは、移動する対象物を追尾し走行する機能はもとより、自動的に障害物を検知し停止する機能などを備えています。スタッフの方々のお話では、そもそものところ、このGarooはまち歩きやサイクリングの代用品としての観光利用に適したものとしては制作されていない、とのことです。ただ、実際に乗車して様々な機能を体感してみると、「観光×Garoo」が実現することができれば、「障がい者の方が観光をするという可能性も大きく広がるのではないのか?」と感じることができました。

 ちなみに、最近、JR西日本は、車椅子がスムーズに電車に乗り降りできるように、駅のホーム床面に上下開閉するスロープの設置を始めています。今までは、駅員さんに移動式スロープを設置してもらって、介助してもらいながら乗り降りすることが基本でした。そこで、こうした介助者の負担を減らすために、このような電動スロープの設置が行われたと思います。ただ、同じような環境改善の取り組みを、全国規模でスピーディに展開することは難しいかも知れません。

 とはいえ、こうした障がいをもった方が単独でも旅行ができるような、環境づくりが必要なのだということを感じています。なので、私たちが取り組む研究を通して、車椅子での単独長距離移動を可能にしていければいいなと考えます。そのためには、電動車椅子の利用者を増やしていくことが必要なのかもしれません。そう考えると、普段、電動車椅子を利用しない方達にも、新しい移動手段として活用してもらうこともその方策の一つなのかなと思っています。

電動車椅子に追従する貨物用の車と電動車椅子の間に障害物を検知し自動的にストップする様子