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未来の東金市の観光のあり方について考える:市役所、商工会議所との座談会およびワークショップ

自主ゼミ

2022.02.05



次年度から観光学部が東金市に移転するということで、東金市役所はじめ東金商工会議所の皆さん、同会議所に所属する企業の方々が、学生と共に「未来の東金の観光について考えるための場」として「(観光を主眼においた)地域活性戦略プロジェクト会議」を開催し、学生たちが参加しました。

2021年の開催は次の通りです。
第1回:「東金の持つ魅力の再確認」(11月5日) 
第2回:「これからの地域情報発信」(11月30日)
第3回:学生主導のワークショップ(12月14日)
これら3回の会議について学生から報告します。

 

「地域活性戦略プロジェクト会議」を行うきっかけとなった2021年度の授業「観光プロジェクトa」での遠隔会議の様子


●観光学部2年 首藤 奈保子
これまで3回にわたり、東金市商工会議所が主催する「(観光を主眼においた)地域活性戦略プロジェクト会議」に参加させていただきました。
この会議では、東金市を盛り上げていくために「東金の持つ魅力の再確認」やその魅力を発信していくための「これからの地域情報発信」について議論をしてきました。

私は、行政の方や商工会議所の方との会議は初めてだったので、初回は緊張しており、発言はしたのですが、今思い返しても何を言っているのかわかりませんでした。ただ、回数を重ねるごとに慣れてきました。
ちなみに、このように緊張してしまった背景には、初めての経験で議論に入っていけなかったこともありますが、11月に行われた2回の会議が、商工会議所からの議題で議論をすることが求められたことも理由だったのかもしれません。
そのことに気づいたのは、議論をする中で、私たち学生の考えは、行政の方や商工会議所の方が目指すものとは少し異なっているように感じたからです。
まず、第1回目の会議では、「今あるものを再利用する」ことに価値を感じる学生と、「新たに創り出すもの」に価値を感じる行政の方や商工会議所の方の意見の差がそもそもあったからです。第2回目の会議でも、若い世代と年配の方で情報の取り入れ方がまったく異なることにも驚きを隠せませんでした。こんなにもギャップがあるのかと感じたと同時に、様々な課題が見えてきました。

そこで、12月14日に行われた第3回目の会議は、3年生の先輩が主導して学生から質問を投げかけることになりました。また、全員が意見を出せるようにポストイットを活用したワークショップ形式を取ることになりました。
初めは戸惑いましたが、新鮮な雰囲気で参加者全員が楽しく考えられる時間となったように思います。商工会議所に所属する企業の皆さんや行政の方と話しながら考えることができたからです。
ちなみに、「10年後、東金市にどんな未来があるといいか?」という設問に対してKJ法で出された意見を整理していたとき、1,2回目の会議でも感じていた行政の方と学生の思考の違いがビジュアルではっきりわかりました。次回以降の会議では、ここで得たものがどう展開するのか考えてみたいと思いました。

来年度からは、東金市での生活が本格的に始まります。在学中に東金市の発展に寄与し、自分たちが卒業しても訪れたいと思えるまちにしていきたいと思います。そのためにも、今後も、こうした会議を通してまちの人々と一緒に東金市の課題について考えていきたいと思います。

 

東金市役所の職員の方が、東金市の観光の現状についてお話しくださっている様子


●観光学部3年(金子ゼミ) 髙橋 昴哉
私は、東金市役所ならびに東金市商工会議所が企画してくれた「(観光を主眼においた)地域活性戦略プロジェクト会議」に3回に渡り参加しました。
第1回目、第2回目は、商工会議所の方々や商工会議所に所属する企業の方々が中心となった話し合いとなり、学生からは意見を出すことができず、学生は積極的に参加していないという印象になってしまいました。
そこで、3回目の会議は、いくつかの質問を学生から用意したうえで、その質問に答えていただくこととしました。「5分という制限時間の中で答える」「20文字以内で端的に答える」という同じ条件下で、学生が用意した質問に対する答えをポストイットに記載してもらうワークショップです。

このワークショップの基本的な狙いは、

・学生も臆せず意見を出す
・学生と社会人との意見の間にある同質性や異質性を見出す

ことが目的でした。つまり、どちらかが一方的に自分たちの考えを話すのではなく、互いの考えているところを知ることに焦点を当てました。

そのため、観光学部だからといって観光に固執した質問をするのではなく、
 1. 日頃やっていて楽しいことは?
 2. 10年後、東金市にどんな未来があるといいか?
というように、共有して考えられるように、少し日常の営みに即した質問を用意しました。

ちなみに、このワークショップを通しての気づきは2点あります。
第一の気づきは、2.の質問に関しての答えに現れた結果についてです。学生からは抽象的に聞こえてしまう「戻ってきたいと思える景色が残っていてほしい」「地元の友人に自慢できるものが欲しい」といった意見が多かったのに対し、市役所の職員からは「インフラ整備の拡充」「まちでの過ごし方改善」など、東金市域を大きな枠で捉えた課題改善に向けた意見が出されたほか、「○○地区の景観整備の促進」「駅周辺のユニバーサルデザイン環境の整備」など具体的かつ細部に言及する意見が多かったということです。このような「ギャップが、どうして生まれるのか?」とても興味深いなと思いました。
その一方で、1.の質問では、学生と行政職員、商工会議所の方々も同じようなことを考えていました。「散歩」「筋トレ」「ゲーム」「You tube視聴」等々、職域の違いや年齢差はあるけれど、あまり変わりはない回答が多かったと思います。これが第二の私たちの気づきです。そして、「意外と「日常的なこと」が観光につながる」という気づきもありました。老若男女を問わず、日常的な「楽しみ」に対しては共感するところが大きいのだなと実感しました。 

ただ、こうして見出した異質性や同質性を観光に活かすためには、「ターゲットを絞るということが重要」だということも学びました。とくに、これまで観光業界が取り組んできたように年齢や性別のみでター ゲットを絞るのではなく、多様な職域や生活形態にも着目して、ターゲットを絞り込んでいくことが求められているのだということを実感しました。

最後になりますが、今後もこの活動に積極的に参加して、観光だけではない観光を支えるまちを作るためには「どのようなプラットフォームづくりが必要なのか?」ということについて考えていきたいと思います。そのためにも、堅苦しい話に終始しないように、打ち解けたムードづくりを心がけたいと思います。
 

東金市役所の職員の方や東金市商工会議所の方々と
「10年後、東金市にどんな未来があるといいか?」について考えたワークショップの様子

 

● 観光学部2年 小泉 凪
私は、第3回目の「(観光を主眼においた)地域活性戦略プロジェクト会議」が、初の会議参加となりました。

今回は、学生が考えた課題に対し、参加メンバーが思いついたフラッシュアイデアをポストイットに記載していくというものでした。記載されたポストイットは、KJ法を参考に類似アイデアを白い模造紙に集約していきました。すると、どうしたことか、学生、市役所、商工会議所の方々の立場によって視点が異なることから考え方が綺麗に分かれ、驚いてしまいました。
とくに、二つめの「10年後、東金市にどんな未来があるといいか?」という課題に対しては、参加者の目標がそれぞれ異なるので、それが視覚的に見事に現れたように思います。ポストイットが集約された模造紙は、東金市の居住(滞在)歴の差、職域などの立場の違い、年齢からくる育った環境の違いなど、参加者の視点の違いも視覚的に表わすものとなり、凄く象徴的だと感じました。

また、このワークショップとは別に、この第3回目の会議が始まった際に、「東金市の地域活性化に向けて「東金市を観光地化して発展させたいのか?」それとも「東金市を発展させたいから観光地化したいのか?」ということをまずは考えないといけない」という、「鶏と卵どちらが先か?」というような話題が商工会議所側から投げかけられました。「発展」という言葉が、議論の前提として挙げられたことにも驚きました。ここが、この会議に参加している学生と商工会議所の方々との考え方の違いなのではないかと思ったからです。
一般的に、「観光」というと、華やかで新しいイメージがありますが、私は、「今の東金市の資源を活かす、地域に根差した「観光」」もあると考えているからです。「田園風景や自然などを観光資源として活かした、懐かしさ残る「まち」づくり」というものと、「施設や駅を綺麗にして住みやすい「街」を創りたい」という商工会議所の方々の意見とは少し異なるのではないかなと思いました。

ちなみに、東金の良いところとして学生の多くが挙げた「田園風景や自然などを観光資源として活かした、懐かしさ残る「まち」づくり」というイメージは、会議所の方々にとっては「負の遺産」だということでした。もちろん、「負の遺産」と言われるこの資源も、観光地化する上では利用できると思います。しかし、商工会議所はじめまちの人の共感を得ることが重要ではないかと考えます。ただ、その共感を得るための説得に必要な知識が今の私には足りません。また、残すべきものとして挙げられる具体的な事例を知りません。そこで、私は、もっと東金のことを知ると同時に、似た地域の事例を学ぶ必要があるのだと感じました。
私たち学生には、駅を綺麗にする力は無いけれど、東金の良さを見出して観光イベントを企画することはできます。最終目的は、双方とも地域活性化なので、私達ができることと地域が求めていることが重なっていき、地域を盛り上げていけるように頑張りたいと思います。
 

東金市役所の職員の方や東金市商工会議所の方々と、
学生たちの考え方の違いについて話しながらワークショップを進める様子