企業視察:電動車椅子の観光利用にあたって考えるべき課題の乗り越え方を学ぶ

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本年度の金子ゼミでは、電動車椅子の観光利用を促進するにあたり、電動車椅子を取り巻く課題を解決するためのいろいろな知見を持っている方々にお話を聞く機会を持っています。
今回は、春学期(第一クォーター、第二クォーター)の間に実施した二社(WHILL株式会社様、株式会社ビーブリッジ様(以下、敬称略))の企業視察について報告をさせていただきます。

●観光学部3年 小林 志生
本年度初の企業訪問は、昨年度からお世話になっている次世代電動車椅子メーカーのWHILL株式会社への視察訪問でした。
今回、私たちが、WHILL株式会社の本社屋に赴いた目的は、以下の三つとなります。

1.  WHILL株式会社で働かれている方々がどのような環境で仕事をしているかということを知りたい
2.  自分たちが地域と連携し実施している実証実験の中で抱えている課題を共有し解決策を検討したい
3.  自分たちが実証実験のために利用しているWHILL Model F以外の機種に試乗したい

1に関しては、昨年度、オンラインで講演いただいた際にお伺いした「WHILLが目指している社会像」が、どのようなワークスタイルと結びついているのかということを実際の目で確認したかったからです。とくに、「介護対象者だけにひらかれた電動車椅子利用を目指してはいない」「そのためにWHILLを日常利用しているスタッフもいる」とのことだったので、社員の方々が日常利用している様子も拝見できるのかと淡い期待もありました。ただ、実際には、コロナ禍ということもあり、そうした様子を社屋の中で垣間見ることはできませんでしたが、日本事業本部営業部の鈴木祐衣様のお話では、「出張や出勤の際には、定期的にWHILLを活用し、利用上の課題を発見することを試みている」ということでした。また、具体的な利用上の課題についてもお話をお聞かせいただき、当事者意識を持ちながら利用することの重要性を感じました。
2に関しては、WHILL株式会社も、私たちが抱えている課題と同様の課題も抱えていることがわかりました。ただ、そこで「課題を課題として抱え込まずに、パートナーシップを結ぶ企業との連携の中で、課題をどのように乗り越えていくのか」ということについてお話いただき、とても参考になりました。課題を明示することに終始せず、その解決策についてもいろいろな企業と連携し、検討していきたいと心を改めることができました。
また、今回、WHILL Model F以外の機種に試乗することで、機種を選ぶ際の目安や目的なども明確にしていかないと利用者にとっては課題が多くなってしまうこともわかったので、今後の活動の中で、観光利用する際に使う電動車椅子の機種の指針などを明確に提示できるようにしたいと思いました。
 

WHILL株式会社本社屋のミーティングスペースでレクチャーを受ける様子
 
WHILL Model F 以外の機種への試乗体験にあたっての事前レクチャー



●観光学部4年 髙橋 昂哉
電動車椅子メーカー WHILL株式会社に続き、「電動車椅子に乗車するにあたり、効率よく活用できるアプリケーションとはどのようなものなのか?」ということを考えるため東京丸の内に本社を構える株式会社ビーブリッジ様(以下、ビーブリッジ社)を訪問しました。こちらの会社は、「可能と不可能の架け橋になる」というミッションのもと、主にVR(仮想現実)とAR(拡張現実)の技術を研究・開発しており、自社でもその技術を使ったサービスを提供されています。そこで、COO(最高責任者)の近藤敬秀様から企業の取り組みについて解説いただくとともに、ビーブリッジ社が提供しているVRとARがどのようなものなのかということを体験させていただくこととなりました。

とくに、今回の視察では、ARの体験が印象的だったので、簡単にご紹介します。

今回体験させていただいたAR技術の一部は、すでにビーブリッジ社の提供する<coconey(ココニー)>という「おでかけ情報サービス」のスマートフォンアプリでも活用されているものになります。こちらは、この夏休み期間中に、私たちのゼミで行う北海道上士幌町における「電動車椅子の観光利用に関する実証実験」において利用させていただくサービス(以下、同サービス)です。そのこともあって、事前に利用体験をさせていただきました。

同サービスにどのような機能の特徴があるかというと、
1. ユーザー同士で、お店の写真や口コミなどの情報をシェアできる機能
2. ARナビゲーションによる目的地までの道案内機能

とくに、2の機能においては、従来のナビゲーション機能の他に目的地まで指定のマスコットキャラクターがルート案内をしてくれるAR体験も可能とのことでした。そちらも今回の視察で体験させてもらいましたが、こうした機能を道案内機能と組み合わせていくと、観光体験が面白くなるなと思いました。実際に、夏に実証実験でうかがうことになっている上士幌町では、熱気球型のマスコットキャラクター「ほろんちゃん号」をAR化しているとのこと。さらには、地域の観光スポットごとでの「ほろんちゃん号」との撮影体験などを提供し、人気を博したとのことでした(https://bebridge.com/posts/19)。

以上が、今回のビーブリッジ社での視察で体験させていただいた内容ですが、偏に、こうしたものが一つのアプリケーションに集約されていることで情報の取得が便利にできるようになることに驚きました。こうした機能を使えば、電動車椅子の利用者も安全に運転しながら便利な観光ができるのではないのかとも思っています。ただ、実際に運転しながら利用してみないことにはわからないことも多いので、この夏休みに行う実証実験の中で課題についても検証してみたいと考えています。

最後になりますが、今回の二社への視察は、いろいろな意味で勉強になりました。この場を借りてお礼申し上げます。
 

オフィス内でARアプリの仕組みについて学ぶ様子
 
スマートフォンで熱気球型のマスコットキャラクター「ほろんちゃん号」のARを体験
 
ARグラスを試装着し歩行しながらARを体験