ハンガリー研修
2023.09.13
ハンガリー研修も残り5日となり、1日1日が早く過ぎるように感じる。
・今日の研修では、センメルヴェイス大学病院の手術室について説明を受け、実際に手術室内に入って手術の様子を見学した。これまでに手術室で実習したことはなく、麻酔覚醒の瞬間や硬膜外麻酔からの気管挿管、尿カテーテルの挿入、静脈注射、腹腔鏡手術が始まるまでの流れを初めて見学した。
・特に印象に残ったのは、気管挿管についてである。気管挿管は、何らかの原因で気道が閉塞している患者や呼吸管理が必要な場合に気管内にチューブを挿入、留置し、気道を確保、酸素を供給する(人工的に呼吸させる)方法である。手術の場合、全身麻酔をする際には麻酔薬の影響で呼吸が弱くなる患者に対して、確実に安定した呼吸を補助するために人工呼吸を行う必要がある。また、日本において気管挿管は生死に関わる医療行為となるため、看護師が行うことはできない。しかし、ハンガリーでは特別なトレーニングを受けた看護師は、喉頭までの挿管なら行うことができる。つまり、それほど高度な技術が必要となる。挿管の際には、喉頭鏡と呼ばれる鎌の形をした器具を用いて気管チューブを挿入できるように場所の確保を行う。また、喉頭鏡についているライトを用いて、気管チューブの挿入先を把握しながら挿管する。しかし、気管までチューブを挿入している間は、患者は呼吸を抑制される状態となるため、バイタルサインなど患者の状態をモニターで確認しながら素早く行う必要があり、挿入後も人工呼吸器の機械とつなげるまでの間は手動式の人工呼吸器を用いて、一定の感覚で酸素を供給する必要がある。実際見学していると、挿管に一定以上の時間がかかった場合には呼吸状態が悪くなり、一度手動式の人工呼吸器を用いる様子も見られた。また、麻酔で眠っているにも関わらず、挿管している間苦しそうにする様子も見られた。そのため、気管挿管は生死に関わる医療行為であり、医師やハンガリーの看護師には特別なトレーニングが必要になるということが分かり、貴重な見学となった。
・放課後にはホテルから近いリスト・フェレンツ音楽大学で行われたコンサートでオーケストラを鑑賞した。私がハンガリーに来てから感じたことは、音楽に触れる機会がとても多いということだ。日本では、音楽の生演奏を聴くためには高額が必要となる場合が多い。しかし、ハンガリーでは路上での演奏だけでなく、レストランやカフェ、イベントで楽器の生演奏が行われる場所が多い。また、教会でのコンサートやオペラなどで安い価格で音楽を感じることもできる。残り僅かな研修であるが、日本では簡単に感じることのできない音楽と芸術的なハンガリーを堪能したいと思う。