ハンガリー研修
2025.08.29
今日は軍事病院で研修を受けました。テーマは「神経学的救急」の中でも特に脳卒中についてです。脳梗塞と脳出血という2つの原因があり、どちらなのかを早く診断して治療に結びつけることが予後を大きく左右すると学びました。既往歴や持病の有無が結果に影響するというのも印象的でした。
驚いたのは、ハンガリーでは子どもに脳卒中の初期症状を教育していることです。祖父母と一緒に過ごす時間が長いため、孫が異変に気づいて救急要請につながるケースがあるそうです。それだけ脳卒中が身近な病気なのだと感じました。また、高齢者にはスマートウォッチを支給し、緊急時の通知や治療の補助に使われていることも知り、日本にはない取り組みに驚かされました。
病棟では、脳梗塞や神経疾患、睡眠障害の治療が行われていました。術前・術後のモニタリングルームや集中治療室がありました。部門長の医師は、睡眠障害が神経系の救急につながったり、寿命を短くする可能性があるため、特にこの分野に力を入れていると説明してくださいました。ハンガリーはオーバーウエイトの人が多いことも、睡眠障害が多い理由の一つだそうです。毎晩30人ほどの患者さんに脳波・呼吸・血圧・血液中酸素濃度などを無線で測定し、さらに終夜録画によって睡眠中の様子を詳細に記録しているそうです。その記録は翌朝に解析され、診断や治療につなげられていると伺いました。外来でも70人を診ており、合計100人を超える患者さんがケアを受けていました。
先生は患者さんに説明している場面を見せようとしてくださいましたが、患者さんが拒否されたため立ち会うことはできませんでした。その代わりに記録映像を見せていただき、睡眠中に起こる症状の多様さに驚かされました。先生の言葉にあった通り、あらためて、「睡眠は生活の土台であり、食べること・体を動かすことと同じレベルで重要」ということを学びました。
心肺蘇生の演習も行い、「呼吸や脈の確認を行い、模型を使って胸骨圧迫するところまで」を練習しました。テンポや深さを正しく保つ難しさを体感し、繰り返し練習しておくことが必要であると思いました。
M.K
センメルワイス大学附属病院での講義
日中のゲレルトの丘
ゲレルトの丘からの夜景