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軟式野球部・キャプテンとしての経験は財産に 卒業生インタビュー

君塚鉄筋株式会社
青木 祥幸さん(19期生・観光学部卒)

新国立競技場(東京都新宿区)や東京ディズニーランド(千葉県浦安市)といった日本を代表する施設の鉄筋工事を手がけてきた君塚鉄筋株式会社(千葉県千葉市)で、工事部の課長を務める青木祥幸さん。本学には2010年、観光学部に入学し、できたばかりの観光学部軟式野球部の部員に。4年次のときにはキャプテンとしてチームをまとめました。当時は安房キャンパス(千葉県鴨川市)を拠点としていた同部は今春、観光学部とともに千葉東金キャンパスに移転。2022年11月には「第45回全日本大学軟式野球選手権大会 に出場し、第3位の成績を収めるなど、強豪チームへと成長しました。青木さんは後輩たちの活躍に目を細めながら、創部間もない当時のエピソードを語ってくださいました。

視野を拡げるために県外へ

愛媛県出身の青木さんは、6歳上の兄の影響で中学1年生から野球を始めました。その頃憧れたプロ野球選手は松坂大輔投手。日々練習を重ね、県内でも有数の強豪校・松山城南高校(現松山学院高校)に進学し、念願かなってピッチャーを務めました。甲子園出場を目指した高校生活最後の県大会での戦績はベスト16。野球漬けの日々にひと区切りが付き、卒業後は地元の大学に進学する予定でした。「正直なところ、大学でも野球を続けるかどうかは全くの白紙でした」と青木さんは振り返ります。

地元に残ろうと思いながらも迷いを抱いていた時に声をかけてくれたのが、本学軟式野球部の河上國男監督です。同じ愛媛県出身で、青木さんとは幼少の頃から家族ぐるみで親交がありました。当時の河上監督は本学入試部顧問として学生募集を担当しており、主に四国地方の高校を訪問していたのです。さらに翌年度に創部予定の観光学部軟式野球部監督に就任することも決まっていて、青木さんから相談を受けた河上監督は「視野を拡げるために、一度は愛媛を出るのも良いのではないか」と、本学観光学部への進学を選択肢の一つとして助言。青木さんは進路を大きく変更する決断をしました。

グラウンドの草むしりが日課に

青木さんが入学すると同時に、河上監督が率いる軟式野球部が始動。青木さんも加わり、9名のメンバーで一からのスタートを切りました。安房キャンパスからほど近いグラウンドを拠点としてはいたものの、整備が遅れていて練習前はグラウンドの草むしりが日課に。防護ネットも不足していたので、原付バイクでも30分以上かかる場所にある市民球場や高校のグラウンドを借りることもありました。どのグラウンドも使えない日もあるなど、「練習場所を確保することさえ大変でした」と、青木さんは創部メンバーならではの苦労を懐かしそうに語ります。

こうした厳しい環境もあって、チームはなかなか思うような戦績を残すことができずにいましたが、3年目には東関東大学軟式野球リーグ戦を勝ち抜き、東日本大会出場を果たしました。部員も年を追うごとに増え、青木さんが4年生になった時には約30名を数えるまでに。監督は青木さんをキャプテンに指名します。「前に出るタイプでもなく、口下手な自分に務まるのか」と青木さんは不安でいっぱいでしたが、「今にして思うと、そんな自分を変える必要があると監督はきっと思っていて、親心からの指名だったのかもしれません」と、当時を思い起こし、笑顔を見せました。練習メニューや戦術を固めたり、後輩を指導したりと、キャプテンとしての日々は苦労の連続でしたが、やりがいも少しずつ感じることができ、文字通り、選手生活の集大成となりました。

卒業後は愛媛県に帰省しての就職を考えていましたが、またしても「それでいいのか」という思いが首をもたげました。そもそも、県外に進学した目的は視野を拡げることだったはず。「もう少し視野を拡げたい」と、そのまま千葉県で就職することを決意しました。第一志望とした地方公務員の夢は適わず、再チャレンジに向けてホテルでアルバイトをする青木さんが頼りにしたのはやはり、河上監督でした。監督はビル、マンション、倉庫、工場、学校、体育館、病院など、さまざまな建築物の鉄筋工事を手掛ける君塚鉄筋を青木さんに紹介。採用に至りました。

キャプテンの経験が今に生きている

入社後は建築現場での業界用語、作業の手順などを覚えることができずに、苦労しましたが、今年で7年目に。今では工事部課長として現場を陣頭指揮。2022年6月には協力会社である清水建設株式会社から「職長安全衛生優良賞」を贈られるなど、社を代表する現場監督の一人として活躍しています。危険と隣り合わせの建設現場では、複数の会社の人たちと一緒に作業を進めていくのが基本。「よりきめ細やかにコミュニケーションを取ることを一番大切にしています。関わる人の数が多いので、全体を俯瞰することが求められますが、そこは軟式野球部でのキャプテン経験が役に立っています」と話し、「打ち合わせ通りに作業が進み、建物が少しずつ出来上がっていく姿を見ていると、本当に嬉しいです。それまでの苦労を忘れます」と今ではこの仕事ならではの醍醐味を実感する毎日です。

人との出会いを大切に

青木さんは「卒業させてくれた両親には本当に感謝しています。友人、チームメイト、教職員の方々をはじめ、いろいろな人に出会い、視野を広げることができました。多くの方に支えられたことを改めて認識させられています」と本学での4年間を振り返り、「後輩たちにはもちろん勉強を頑張ってほしいですが、人との出会いを大切にして過ごしてほしいです」とエールを送ってくださいました。

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